[記事紹介] Switching to Android full-time -- an experiment (Marco's accessibility blog)

2013年4月 9日

投稿者:中根雅文

Mozillaのアクセシビリティー・チームで活動する全盲のQAエンジニア、Marco Zehe氏が、現時点でのiOSとAndroidを、全盲のユーザーの視点で比較した、「Switching to Android full-time -- an experiment (Androidに完全に乗り換えてみる実験)」と題した ブログ記事を、4月5日付けで投稿した。記事では、iPhoneを使ってきたZehe氏が、Android 4.2.2 (Jelly Bean) に完全に乗り換える試みを通して浮かび上がってきた問題などが指摘されている。

Zehe氏は、最初にiOS用スクリーン・リーダーのVoiceOverが搭載されたiPhoneである、iPhone 3G Sが発売された2009年6月より、iPhoneユーザーだったという。Googleも同時期にAndroidのアクセシビリティーに関する取り組みを進めるという方針を打ち出していたが、その当時のAndroidのアクセシビリティー・サポートは、iOSとは比較にならないレベルのものだった。

その後、Android用スクリーン・リーダーのTalkBackがリリースされたが、やはり機能面での不足は否めないものだった。iOSのVoiceOverと比較すると機能面で大幅に劣っていたともいえるAndroidのTalkBackだったが、2011年10月にリリースされたAndroid 4.0では大幅な改善が見られた。さらに、2012年6月にリリースされたAndroid 4.1では、TalkBackが提供するタッチ・スクリーンへのアクセス方法が大きく変更され、iOSのVoiceOverのそれと類似したものになった。

この変更によりiOSからの乗り換えが容易になったと考えられること、AndroidとTalkBackもそれなりに成熟してきているらしいこと、Android版Firefoxにアクセシビリティー機能が搭載されていることなどから、Zehe氏はこの3月に、iPhoneからNexus 4に完全に乗り換えてみる試みをすることにしたという。

この記事では、これまでZehe氏がiPhoneで日常的に行ってきたことを、Nexus 4で同等にできるのか、という視点で比較が行われている。具体的には、ドイツ語と英語を切り替えながらの入力、カメラを使った写真撮影、いくつかの標準搭載およびサードパーティー製のアプリケーション、旅行およびナビゲーション関連、電子書籍などについて、iOSと比較しての分析と感想が記されている。

具体的な問題点については記事を参照していただきたいが、Zehe氏の全体的な結論は、AndroidのTalkBack環境は未だ充分なものではなく、iPhoneを置き換えられるようなレベルには達していないというものだ。挙げられている問題の中には、AndroidそのものやTalkBackの問題といえるものも含まれている一方で、アプリケーションがTalkBack環境を考慮せずに作られていることに起因するものも多く、今後の改善を期待することもできそうだ。また、Zehe氏自身、今後もAndroid環境に注目していきたいとしている。

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