米国FCC (連邦通信委員会) は1月28日、Amazon、Kobo、ソニーから提出されていた電子書籍リーダーのアクセシビリティー要件の適用除外を求める嘆願書について、2015年1月28日までの1年間の期限付きで、適用除外を認める決定を下した。
2010年10月に公布された21st Century Communications And Video Accessibility Act of 2010は、ビデオ会議やテキスト・メッセージ機能を含む通信サービスへのアクセスを提供する全ての電子機器に対して、実現が不可能な場合を除いて障害者が利用できるようにすることを義務づけており、2013年10月8日以降に発売またはアップグレードされる機器やサービスが対象となる。ただし、同法では、通信サービスへのアクセス機能を有している機器であっても、通信サービスの利用が主な目的ではない機器については、この要件の適用を除外することができるとしている。
Amazon、Kobo、ソニーは、2013年5月に提出した嘆願書で、電子書籍閲覧に特化した端末について、アクセシビリティー要件の適用除外を求めている。
ただし、この中でアクセシビリティー要件の適用除外を求めているのは電子書籍閲覧に特化した端末に対してであり、タブレットのような汎用性の高い端末については対象としていない。例えば、Amazonの製品の場合、Kindle Paper Whiteは適用除外の対象になるが、Kindle Fireは対象にならない。
FCCのConsumer and Governmental Affairs Bureauでは、この嘆願を受けて2013年8月にパブリック・コメントの募集を実施した。パブリック・コメントの募集締め切りから、アクセシビリティー要件の効力が発生する2013年10月8日までに十分な時間がなかったため、2014年1月28日まで一時的に適用除外を認める判断を下していた。
その後、対象となる電子書籍リーダーの利用者にとっての通信サービスを利用するための機能の重要性などを検討した結果、2015年1月28日までの期限付きで、以下の条件を満たす電子書籍リーダーについて、アクセシビリティー要件の適用除外を認める決定を下した。
- 液晶画面を搭載しておらず、搭載されている画面は読書のために最適化されている。
- カメラを搭載していない。
- Eメール、インスタント・メッセージ、VoIPなどの機能を提供するためのアプリケーションがインストールされていない状態で出荷され、また機器の生産社がこれらのアプリケーションをその機器向けに開発していない。ただし、ブラウザーやソーシャル・メディア・アプリケーションについては、インストールされた状態で出荷してもよい。
- 電子書籍閲覧用の機器として販売されており、通信サービスへのアクセス機能について強調するような宣伝を行っていない。
FCCの本件に関するリリースによると、嘆願書の中で3社は、このような電子書籍リーダーに対するアクセシビリティー要件の無期限の適用除外を求めていたが、今日の技術の変化の速度を考えると、容易に状況が変わる可能性があるため、1年間の期限付きとなったという。
関連リンク
- Federal Communication Commission, Consumer and Governmental Affairs Bureauのリリース (英文)