こんにちは!
「AccSellメールマガジン」第29号が発行されました!
第29回の内容は
- [連載] 中根雅文の「全盲のコンピューター利用に関する四方山話」
- 第29回:「インターネットがある生活」が始まる
- [連載] 植木 真の「JIS X 8341-3:2010 『逆引き』徹底解説」
- 第28回:JIS X 8341-3:2010 実践 <その20> 映像コンテンツ
- [不定期連載] 植木 真の「こんなブログ記事見つけました!」
- 第2回:Webライティングとアクセシビリティ
の3本です!
中根さんの連載でようやく(?)インターネットのお話が登場してきました!インターネットで生活が変わった方って多いだろうなぁ。私(izuizu)もその一人です。
[連載]中根雅文の「全盲のコンピュータ利用に関する四方山話」
第29回: 「インターネットがある生活」が始まる1994年に大学入学と同時に、僕は本格的にインターネットを利用できる環境を手にしました。しかし、大学では英語しか使えず、また大学でも自宅でもキャラクター・ベースのアクセス環境だけが使える状況でした。今回は、前回に引き続き、この頃のインターネット・アクセス環境について紹介します。
英語環境で日本語を読む
僕にとってまず重大な問題だったのは、大学で使っていた環境では英語しか使えなかったということでした。これは、授業を受ける上では英語を正しく扱えることが必須だったために、英語環境のIBM PCのDOS環境で点字ディスプレイを使うという環境を選んだためでした。
授業で使うことを最優先に選んだ環境ですから、授業を受ける上ではほとんど問題はありませんでした。が、日本語を使えないというのは、授業を離れると大変な問題でした。
具体的には、大学にいるときに参照しないといけない日本語の資料がある場合、大学にいるときに友人とメールのやり取りをしないといけない場合などです。特に後者は重大な問題でした。
一応大学に入学できているわけですから、簡単な英語でのやり取りならほとんどの学生がこなせます。とはいっても、「俺、日本語読めないから英語でメールしてね」とはなかなか頼めません。これではせっかく友達ができても、そこからなかなか距離が縮まりません。他の大学では、友達同士の主な連絡手段はおそらく電話だったと思いますが、僕がいた慶應大学のSFCでは、電話と同じくらいにメールが使われていたのです。
しばらくは途方に暮れていたのですが、何かのきっかけで面白いプログラムを見つけました。kakasiというオープンソースのプログラムなのですが、このプログラムは、漢字仮名まじり文のテキストを渡すと、ローマ字に変換してくれるという、普通ならあまり受容がなさそうなプログラムでした。必ずしも正確ではない変換でしたが、充分に意味が分かるレベルのものでした。
そこで、僕はこのkakasiをキャンパス内システムで使えるようにして、大学にいるときは常用するようになりました。日本語で書かれた資料や、日本語で書かれた友人からのメールを読みたいときは、kakasiを使ってローマ字にして、点字ディスプレイを使って読むようにしたのです。こうして、完璧とはほど遠いのですが、日本語のテキストを扱えるようになりました。
とはいっても、英語環境で日本語を書くことはできませんでした。ですので、日本語で何かを書きたいときは帰宅してからにするしかありませんでした。急ぎのメールを送りたいときは、なるべく平易な英語で書くようにしました。英語が苦手だという友人の多くも、書くのはともかく読むのならまあ我慢してやろうという感じで、僕の大学生活はどうにか動き出しました。
この状況は、入学してから半年程度続きました。ただ、さすがにこの状況は不便だということを関係者が理解してくれて、図書館の小さな一室に、僕が使うためのいろいろな機器を集めてくれました。
ここには、日本語を扱うために、音声合成装置が接続されたPC-9801のMS-DOS環境にVDM100がインストールされた環境、英語を扱うために80セルの点字ディスプレイが接続されたDOS/V環境、英語のOCRシステム、点字プリンターなどがありました。当時としては、すばらしく充実した環境でした。さらに、余っていた古いワークステーションも設置してもらいましたので、友達と一緒にプログラミングをするときなどには、この部屋で一緒に作業することができました。
こうして、僕の大学での不便な環境は大きく改善しました。僕は、後に活動の拠点を研究室に移す頃まで、この図書館の片隅の部屋を活動の拠点としていました。
Gopher
さて、何度か触れましたが、この頃のインターネットの中心的なアプリケーションは、Eメール、telnet、FTP、NetNews (Usenetとも呼ばれました) あたりでした。いずれもラップトップを接続しただけのようなアクセス環境でも使えるものばかりです。
また、Gopherという情報システムもありました。
つづきはメルマガで……。