こんにちは!2017年9月27日(水)にAccSellメール・マガジン第122号を発行しました!
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第64回(最終回): インクルーシブデザインの原則The Paciello Groupがまとめた原則
さて、今回はこちらの記事を一緒に読んでみましょう。
さて、皆さんは「インクルーシブデザイン」という言葉をご存知でしょうか?
AccSellのポッドキャストでご紹介し、このメールマガジンでも来月からは本格的に連載もスタートする通称「インクルーシブ本」でも、原著のタイトルが「Inclusive Design Pattern」となっています。
ま、この書籍の場合は、"インクルーシブな"デザインパターンという感じなので、「インクルーシブデザイン」とは若干ニュアンスが異なってくるのですが、「アクセシブル」ではなく「インクルーシブ」を使っているところに何かしらの意図がありそうです。
そういえば、マイクロソフトでも、最近この「インクルーシブデザイン」という考え方を取り入れ始めています。また、英語ですけど、アクセシビリティの書籍の紹介文にも「インクルーシブ」という単語が使われています。
そんな中、欧米でWebやデジタルのアクセシビリティ分野でコンサルティングサービスなどを提供しているThe Paciello Groupが、「Inclusive Design Principles」というタイトルそのままで、インクルーシブデザインの原則を文書化してウェブサイトで公開しました。
実は、すでに日本語訳もあるのですが、AccSellのポッドキャストにゲスト出演していただいたこともある土屋一彦さん(Website Usability Info)とワタクシとで共同作業で翻訳したものです。
細かなニュアンスをどういう日本語にするか、かなり頭を悩ませた部分もあったりしますので、もしお気づきの点などありましたら、是非コメントをいただけたらとも思っております。
というわけで、今回はこの「Inclusive Design Principles」の日本語訳を一緒に見ていきましょう。
「インクルーシブデザイン」とは?
冒頭でこのように書かれています。
この「インクルーシブデザインの原則」は、利用者を最優先に考えることです。永続的な障害がある利用者、一時的または状況的な困難に直面している利用者、あるいは能力が変化してゆく利用者 (つまり、私たちみんな) のニーズに合わせてデザインすることです。
この「Inclusive Design Principles」に限らず、「アクセシブル」ではなく「インクルーシブ」という言葉を使っているのは、どれも対象者を障害のある人に限定していないという点に共通項がありそうな印象を持っています。
欧米では「アクセシビリティ」という言葉を使うときには、基本的には障害のある人を想定しているケースが多いのですが、もしかすると「アクセシビリティ」は障害のある人だけを想定する場合に使い、最近使われ始めている「インクルーシブデザイン」は利用する人すべてを想定する場合という感じで使い分けようとしているんだろうかとも思ったり。思わなかったり、ラジバンダリ。
「Inclusive Design Principles」を翻訳しながら、ふとそんなことを思ったというか、頭の中にそんな仮説が浮かびました。ちょうど、このメルマガが発行される週に、カナダで開催されるカンファレンスに参加して、この「Inclusive Design Principles」の執筆者たちに会えるので、本人たちにも確かめてみようと思います。
ちなみに、「インクルーシブデザイン」という考えかたは以前からあって、例えばこんなふうに説明しているサイトもあります。
7つの原則
さて、この文書では、以下の7つの原則が挙げられています。
- 同等の経験を提供する
- 状況を考慮する
- 一貫性を保つ
- 利用者に制御させる
- 選択肢を提供する
- コンテンツの優先順位を付ける
- 価値を付加する
それぞれの内容については、アクセシビリティ確保の原則と言い換えてもいいようなものばかりですね。例えば、「JIS X 8341-3:2016」やその元になっている「WCAG 2.0」の達成基準にも、一つひとつマッピングしていけそうな感じです。
では、この7つの原則を一つずつ順番に見ていきましょうか。
つづきはメルマガで……。