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こんにちは!2016年5月25日(水)にAccSellメール・マガジン第90号を発行しました!

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第46回: アイコンのユーザビリティテスト

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第46回: アイコンのユーザビリティテスト

「ニールセン博士のAlertbox」の新着コラム

ここ3回は「JIS X 8341-3:2016」関連の記事等を紹介してきました。さて、今回はユーザビリティといえばユーザビリティですが、アクセシビリティ的な一面も持つ話題を取り上げたいと思います。

ところで、ニールセン博士ってご存知でしょうか? Webユーザビリティの分野では世界を代表する第一人者です。彼が率いるNielsen Norman Groupという企業も、以前からWebユーザビリティ界隈ではよく知られています。最近では「ユーザビリティ」よりも「UX」を前面に出している感じですけどね。

さて、そんなニールセン博士を中心に、Nielsen Norman Groupのエキスパートたちが執筆しているコラムが「Alertbox」です。というよりも、最近はニールセン博士自身が執筆する機会はあまりなくて、Nielsen Norman Groupの優秀なエキスパートたちのリレーコラムのような感じで、さまざまなトピックを毎回取り上げています。

で、今回紹介するのは、「アイコンのユーザビリティ」という記事。原文(英語)が公開されたのは今年2月でしたが、先日日本語訳が公開されたので、それを読み進めていきたいと思います。ちなみに、日本語訳はUXコンサルティング&リサーチのIIDさんが運営する「U-Site」というWebサイトで提供されています。

前置きはこのくらいにして、記事を読んでいきましょう。

アイコンのテストでは何をテストするのか

  1. 見つけやすさ: ユーザーがページでアイコンを見つけることができるか。
  2. 再認性: アイコンが何を示しているかをユーザーが理解できるか。
  3. 情報の匂い: アイコンとインタラクトすると何が起こるかを、ユーザーが正確に推測できるか。
  4. 魅力: アイコンの見た目は魅力的か。

記事の冒頭で「アイコンの4つの品質基準」として、この4つを挙げています。例えば、認知障害や学習障害、さらに加齢による衰えなどとあわせて考えれば、どれもアクセシビリティとの共通項がありそうです。

アイコンのテスト方法

アイコンのデザインを評価するためのテクニックはいくつかあるが、どれを利用するかは目的とデザインステージによる。そうしたテスト方法はアイコン単独でユーザーに表示するのか、それとも実際のインタフェースというコンテキストの中で表示するかによって、コンテキストなしのテストとコンテキストありのテストの大きく2つのカテゴリーに分けることができる。

WebサイトのWebページやWebアプリケーションの画面をテストするときと異なるのは、コンテキストの有無という2つのカテゴリーに分けられる点でしょうか。たしかに、アイコンの場合は、そもそもそれ単体で意味が意図した通りにユーザーに理解してもらえるか。そして、画面の中で他のコンテンツと一緒に配置されたときに理解してもらえるか、という2つに分けて検証することに意味がありそうです。

そして、(コンテキストなしでアイコンを表示する方法を利用する場合にも)テスト参加者は必ず、目的にしているターゲットオーディエンスに属していて、その業界全体のことや関係するコンセプトをよく知っているユーザーでなければならないことは覚えておいてほしい。

これは、WebサイトやWebアプリケーションにおける一般的なユーザビリティテストと共通しているといってよいでしょう。また、このテスト参加者によってユーザビリティテストの成否を分ける大きなポイントでもあり、何回やっても難しいところだったりします。

見つけやすさのテスト方法

見つけやすさを評価するには、アイコンをその本来の環境、つまり、インタフェースが全部揃っている状況で表示しなければならない。コンテキストありでテストをすると、複数のアイコンの見た目が似すぎていて、見分けるのにユーザーが苦労しないかどうか、あるいは、アイコンがファーストビューより下にあったり、広告がよく表示されているエリアに埋もれてしまって、見過ごされることがないかどうかが判断しやすくなる。

「見つけやすさ」に限っていえば、その通りですね。この記事では、具体的な手法として「発見までの時間測定(Time-to-locate test)」というのを紹介しています。その結果には、アイコン単体の大きさ、色、デザイン等が影響してきます。また、同じアイコンであっても周囲のコンテンツによって結果が変わってきたりしますよね。

括弧書きになっている以下の部分が、ポイントを端的に表しています。

(つまり、どのくらいの頻度で正しいアイコンを最初にクリックするかを測定しよう。間違った選択をするということはそのアイコンが識別されにくいということだし、時間はかかるが正しいアイコンを選択できる場合には発見しやすさに課題があるということだからだ)

再認性のテスト方法

再認性をテストするにはコンテキストなしでおこなうのが一番だ。つまり、アイコンをテキストラベルなどのインタフェース要素抜きで、単独で表示する。アイコンを提示されたユーザーはそのアイコンが何を表しているかを推測しなければならない。

「再認性」は、言いかえるとアイコン単体での「理解しやすさ」でしょうか。スマホでWebアプリなんかを操作していると、アイコンだけでボタンが提供されていることがよくありますよね。正直、このアイコンはどういう機能なのだろう?と思うことが少なからずあるのは、ワタクシだけでしょうか??

アイコンと一緒にテキストも提供するとわかっている場合、ユーザーにそのラベルを見せ、いくつかの考えられるオプションの中からそのラベルを最もよく表現しているアイコンを選んでもらうのは理にかなった方法だと考えるかもしれない。しかしながら、このやり方を我々がとりわけ推奨することはない。なぜならば、現実の世界には実際、最終的なUIにあるラベルを無視し、画像しか見ないというユーザーもいるからだ。

アイコン自体が多少分かりにくくても、ラベルのテキストを併用すれば大丈夫と考えがちですが、その考え方にも警鐘を鳴らしています。「画像しか見ないというユーザーもいる」というのは、たしかにその通りかも。例えば、本文中のテキストをほとんど読まないで先を急ぐユーザーは多いです。そんなユーザーでも画像には一定の注意を払っているケースが多いのですが、アイコンにもそれと同じことが言えるのかもしれませんね。

情報の匂いのテスト方法

現実の何のオブジェクトにアイコンが似ているとユーザーが認識できるかだけではなく、彼らがそのアイコンが表している機能性を推測できるかどうかも最終的には重要だ。実際、あるシンボルが示している機能をユーザーが理解できさえすれば、そのオブジェクトが何であるかを彼らがわからなくても問題はない。

「情報の匂い」。あまり聞きなれない言葉ですよね。

つづきはメルマガで……。

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