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こんにちは!2015年8月12日(水)にAccSellメール・マガジン第71号を発行しました!

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第29回: 効率を期待より優先してはならない

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ニールセン博士って誰?

さて、今回はユーザビリティテストに関連した記事をご紹介してみようと思います。

効率を期待より優先してはならないというタイトルの記事がソレです。これは、U-Siteというサイトで長年にわたって提供されている「ニールセン博士のAlertbox」でのコラムの一つです。

ところで、ニールセン博士って、誰のことだかご存知ですか? Webの仕事をされている皆さん全体の間では、もしかしたら知名度はそんなに高くないかもしれませんね。

ヤコブ・ニールセンという人で、Webユーザビリティの世界においては誰もが知っている世界一の権威といってよいでしょう。もしご存知なかった方がいらっしゃたら、この機会に是非覚えておくといいと思います。

書籍「誰のためのデザイン?」をご存知ですか? その著者であるドナルド・ノーマン氏と設立したNielsen Norman Groupという会社は、Webユーザビリティのコンサルティング会社としては世界を代表するリーディングカンパニーとして、やはり世界的に有名です。

で、U-Siteの「ニールセン博士のAlertbox」は、そのヤコブ・ニールセン氏がWebコンテンツのユーザビリティについて、さまざまなトピックについてコラムを書いているのですが、それを日本語訳しているコーナーというわけです。

今回ご紹介する「効率を期待より優先してはならない」というコラムは、原題を "Don't Prioritize Efficiency Over Expectations"といい、Nielsen Norman GroupのAurora BedfordさんというUXスペシャリストの方が書いたものです。

では、一緒に見ていきましょう。

「3クリック」は都市伝説か?

おそらく、ユーザビリティの最も重要な目標とはインタラクションコストを最小限にするということだろう。また、タスク達成のためにユーザーが実行しなければならないステップ数(これはクリック数に相当することが多い)を削減しようとしているWebサイトやアプリケーションも少なくない。しかしながら、インタラクションコストというのは単にクリックの数(等の肉体的な行動)のことだけをいうのではない。というのも、そこには知的な努力も関係してくるからだ。したがって、ステップの数だけを重視すると、かえって裏目に出る場合もある。たとえば、ユーザーが「非効率な」プロセスに非常に慣れている場合には、効率化自体がユーザーを混乱させ、タスクフローを中断させてしまうことになる。

このコラムの最初のパラグラフですが、ここでワタクシは大きくうなづいてしまいました。そうなんです、ステップ数を減らすことが絶対に良いことだとは限らないと思うのです。

ユーザビリティテストを実施した際、いつも判断に迷うポイントの一つが、このステップ数だったりします。いつから誰が?というのはもう記憶にありませんが、10年以上前から「3クリック」という謎の鉄則めいたものがありました。すべてのページに3クリックで到達できるようにすべし!というものです。

実際にクライアントの担当者さんでも、非常にこの「3クリック」を気にしている方も何人かいらっしゃいました。でも個人的には、どうなんだろう...?と昔から思っていました。もちろん、Webサイトであれば、その規模(ページ数)にもよりますよね。小規模なWebサイトであれば、実現可能なことかもしれません。

ページ数が多ければ多いほど、「3クリック」というのは非現実的になってきます。それでも、サイト内検索を使えば実現可能かもしれませんが、そういう解釈ではなかったように思います。HOMEページからリンクをたどって「3クリック」以内というお話だったはずです。

それだけに「ユーザーが『非効率な』プロセスに非常に慣れている場合には、効率化自体がユーザーを混乱させ、タスクフローを中断させてしまうことになる。」というのは、ユーザビリティテストの経験などからも共感できました。

期待は過去の経験に基づく

潜在記憶とは長期記憶の一種で、そこでは過去の経験が本人の自覚なく、行動に関する情報として利用される。Webでは、ユーザーは過去に遭遇したすべてのWebサイトについての潜在記憶に頼って、今、利用しているサイトやアプリケーションへのインタラクション方法を知ろうとする。また、タスクを達成するための行動中、ユーザーはプロセスの遂行に関連する潜在記憶の一部である手続き記憶にも依存している。タスクは何度も実行されると、手続き記憶となる。つまり、我々にそのタスクの処理専用の「筋肉」がついたかのようになるのである。

これはユーザーの立場で考えても、とても納得できる話ですね。Webにかぎらず、日常生活のあらゆる場面でそうだと思います。無意識にであっても、過去の経験を頼りにして判断しているというのはよくあることだと思いませんか?

つづきはメルマガで……。

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