こんにちは!2015年6月24日(水)にAccSellメール・マガジン第68号を発行しました!
- [連載]中根雅文の「全盲のコンピューター利用に関する四方山話」
- 第67回: JAWSの強力なカスタマイズ機能 (1)
- [連載]植木 真の「こんなブログ記事見つけました!」
- 第26回: Making SVG Accessible
[連載]中根雅文の「全盲のコンピュータ利用に関する四方山話」
第67回: JAWSの強力なカスタマイズ機能 (1)連載第60回から62回にかけて、JAWSの核ということもできる4つのカーソル (PCカーソル、JAWSカーソル、Invisibleカーソル (レビュー・カーソル) 、仮想PCカーソル) について説明しました。JAWSが高機能スクリーン・リーダーと位置づけられる大きな要因の1つは、これらの機能を比較的早い段階で実用的な形で実現したことにあるのではないかと、僕は考えています。
ただ、JAWSには他にもいろいろな機能があります。すべてを細かく紹介することはできませんが、今回からJAWSが高機能スクリーン・リーダーと呼ばれる要因になっていると思われる代表的な機能をいくつか紹介します。
デフォルト設定とアプリケーション固有の設定
これから紹介する機能は、すごく大ざっぱにいってしまえば、どれも「JAWSに関する設定」です。デフォルトの設定でも特に問題なく使える場合が多いのですが、追加でいろいろと設定したり、デフォルトの設定から少し変更することで、より使いやすくすることができることがしばしばです。
そのJAWSの設定ですが、ほとんどの場合、アプリケーションごとの設定を変更・追加するのか、アプリケーションに関係なくデフォルトの設定を変更・追加するのかということを選ぶことができます。
たとえば、アプリケーションに関係なく読み上げの速度を早くしたい、というような場合はデフォルト設定を変更します。でもMicrosoft Wordを使っている場合は校正作業をすることが多いので、読み上げ速度を遅くしたい、というような場合には、Microsoft Wordのウィンドウにフォーカスがあるときだけ読み上げ速度が遅くなるように、Wordにのみ適用される設定 (アプリケーション固有の設定) を変更します。こうすると、普段は高速で読み上げ、Wordを使っている時だけゆっくりとした速度で読み上げる、ということが自動的に実現できます。
この例では読み上げ速度を挙げましたが、ほとんどの設定に関して、デフォルト設定を変更するのか、あるいはアプリケーション固有の設定を変更するのかを選択することができるようになっています。
他の例としては、アプリケーション固有の設定を活用して、特定のアプリケーションのウィンドウにフォーカスがあるときだけJAWSの動作を停止させる設定を挙げることができます。
この設定は、そのアプリケーション自身が音声出力の機能を持っていて、そのアプリケーション固有のキー・ストロークで様々な機能を実行することができるような場合に有効です。僕自身も、しばしばこの設定をした方が便利に使える、というよりはこの設定をしないと使えないようなアプリケーションに出会います。
JAWSは、比較的早い段階でこのアプリケーション固有の設定を変更する機能を実現していたと思いますが、1990年代後半に流通していたスクリーン・リーダーの中には、使っているアプリケーションに関係なく一律に設定を変更することしかできないものも少なくありませんでした。そのようなスクリーン・リーダーを使っている場合、上記のようなアプリケーションを使うときにはスクリーン・リーダーを一旦終了させなければならないことになり、非常に不便です。
画像ラベラー
Windowsを使っていてしばしば問題になるのが、テキスト情報が付加されて異なアイコンやボタンです。Webコンテンツでいえばalt属性が付いていない画像に相当します。
こういったアイコンやボタンがアプリケーションのダイアログ中に登場すると、スクリーン・リーダーのユーザーはそれを押したことでなにが起こるのかを推測できない場合も多く、Windowsアプリケーションのアクセシビリティーを下げる大きな要因になります。 (これは今でも度々見られる問題です。)
この問題を軽減するために、JAWSには画像ラベラー (Graphic Labeler) という機能があります。
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