メルマガ第26号を発行しました!

こんにちは!
「AccSellメールマガジン」第26号が発行されました!

第26回の内容は

[連載] 中根雅文の「全盲のコンピューター利用に関する四方山話」
第26回:商用パソコン通信とFidoNet
[連載] 植木 真の「JIS X 8341-3:2010 『逆引き』徹底解説」
第25回:JIS X 8341-3:2010 実践 <その17> 音声コンテンツ
ポッドキャストこぼれ話
2013年9月18日配信分から

の3本です!

前回につづき、今回は9月18日に配信したポッドキャストから泣く泣くカットしたいい話をピックアップしているのでぜひご覧ください。
チラ見せは植木真の「JIS X 8341-3:2010 『逆引き』徹底解説」からです!

[連載]植木 真の「JIS X 8341-3:2010 『逆引き』徹底解説」
第25回:JIS X 8341-3:2010 実践 <その17> 音声コンテンツ

JIS X 8341-3:2010の『逆引き』徹底解説、今回のテーマは、「音声コンテンツ」です。「音声コンテンツ」に関連する達成基準としては、次のようなものがあります。

  • 7.1.2.1 収録済みの音声しか含まないメディア及び収録済みの映像しか含まないメディアに関する達成基準(等級A)
  • 7.1.2.2 収録済みの音声コンテンツのキャプションに関する達成基準(等級A)
  • 7.1.2.4 ライブの音声コンテンツのキャプションに関する達成基準(等級AA)
  • 7.1.4.2 音声制御に関する達成基準(等級A)

そして、「音声コンテンツ」というと、大きく分けると音声だけの音声ファイルと音声を含む動画ファイルに分けられるかと思います。『JIS X 8341-3:2010』の元になっているW3Cの『WCAG 2.0』では、さらに「収録済み」か「ライブ」かで、それぞれをさらに細分化しています。では、順番に見ていきましょう。

■音声の自動再生

次の達成基準は、全てのあらゆる音声コンテンツに適用されますので、まず最初にこれから見ていきましょう。

7.1.4.2 音声制御に関する達成基準
ウェブページ上にある音声が自動的に再生され,その音声が3 秒より長く続く場合,その音声を一時停止若しくは停止するメカニズム,又はシステム全体の音量レベルに影響を与えずに音量レベルを調整できるメカニズムを提供しなければならない。

<引用元: JIS X 8341-3:2010「7 ウェブコンテンツに関する要件」より>

この達成基準が適用されるのは、「自動的に再生され」かつ「3秒よりも長く続く」音声コンテンツです。例えば、自動的に再生される音声でも3秒以内に終わる短いものならば、この達成基準は適用されません。また、自動的に再生されないのであれば、それも適用されません。というよりも、音声コンテンツは自動的に再生しないことを強くお奨めしたいです。

先にも述べた通り、これは全てのあらゆる音声コンテンツに適用されますので、ポッドキャストのような音声だけのコンテンツも、音声を含んだん動画コンテンツも、また収録済みでも、ライブ配信でも対象になりえますが、そのいずれの場合でもあっても自動的に再生しないのがベストプラクティスです。

『WCAG 2.0 解説書』を読むと、この達成基準の意図として「スクリーンリーダーを使用している利用者は、同時に他の音声が再生されていると、スクリーンリーダーによる読み上げ音声が聞き取りづらくなる」とあります。だから、もし自動的に3秒よりも長く音声を再生するのであれば、ユーザーその音声コンテンツを停止できるようにするか、システム全体の音量レベルに影響を与えずに音声コンテンツの音量だけを調整できるようにしなさい、というわけです。そのいずれかを満たしていれば、達成基準を満たしていることになります。

「システム全体の音量レベルに影響を与えずに」というのは、簡単に言えば「OSの音量はそのままに」ということです。これは、スクリーン・リーダーの音量がOSの音量設定と連動している場合も多いためです。またそうでなくても、スクリーン・リーダーの音量に影響を与えない形で音声コンテンツの音量を変更できるようにしておく必要があるということです。

とはいえ、やはり音声の再生は、ユーザーが再生ボタンを押すことによって始まるようにしたほうがいいでしょう。皆さんもあるウェブページを開いたら、いきなり音声が鳴り始めて驚いたことありませんか? 一度や二度はあるはずです。それから、聴覚障害のある人は、自動的に音声が再生されていることがわからないので、それに気づかず自分が知らない間に、周りの人を驚かせたり迷惑をかけたりしてしまうことがあるそうです。いろいろなユーザー、いろいろな場面を考えると、やはり「音声コンテンツは自動的に再生しない」のが一番ではないでしょうか。

参考リンク

■音声だけのコンテンツ

さて、では次に収録済みの音声だけのコンテンツに関する達成基準です。具体的には、ライブではないポッドキャストとか、セミナーや会議の様子を録音した音声ファイルなどが挙げられます。

7.1.2.1 収録済みの音声しか含まないメディア及び収録済みの映像しか含まないメディアに関する達成基準
収録済みの音声しか含まないメディア及び収録済みの映像しか含まないメディアは,次の事項を満たさなければならない。ただし,その音声又は映像がテキストの代替メディアであって,代替メディアであることが明確にラベル付けされている場合は除く。
a) 収録済みの音声しか含まない場合 時間の経過に伴って変化するメディアに対する代替コンテンツによって,収録済みの音声しか含まないコンテンツと等価な情報を提供している。

<引用元: JIS X 8341-3:2010「7 ウェブコンテンツに関する要件」より>

この達成基準自体は、対象になるのは「収録済みの音声しか含まないメディア」または「収録済みの映像しか含まないメディア」のいずれかですが、ここでは前者の「収録済みの音声しか含まないメディア」についてだけ説明していきます。達成基準では、「a) 収録済みの音声しか含まない場合」の部分が該当します。

その「a) 収録済みの音声しか含まない場合」にある「時間の経過に伴って変化するメディアに対する代替コンテンツ」というのは、簡単に言いかえると「音声に対する代替コンテンツ」です。つまり、音声が伝えている情報を、その音声を聴くことができないユーザーも理解できるような代替コンテンツを提供しなければなりません。一般的に「代替コンテンツ」というと、いろいろな形態が考えられますが、ここでは音声ファイルのコンテンツを書き起こしたテキストのことを指します。これは「トランスクリプト」と呼ばれることもあります。

テキストに書き起こすべきものとしては、次のようなものが挙げられます

  • 登場人物の発話内容(セリフ)
  • (話者が複数いる場合は)話者が誰なのか
  • 発話以外の音声(例:電話の呼び出し音、ドアの開閉音、拍手、歓声、笑い声など

例えば、複数の話者がいる音声コンテンツの場合、テキストに書き起こしていくと、最終的には台本ようなドキュメントになっていきます。それを代替コンテンツとして提供すれば、音声を聴くことができないユーザーや音声を再生できない場所にいるユーザーも、ほぼ同じ内容の情報を得ることができます。考えてみれば、音声コンテンツをテキストにするわけですから、検索クローラーにも音声で伝えている情報を提供できることになりますね。

参考リンク

■動画の音声のキャプション

さて、最後に動画の音声対するキャプションに関する達成基準です。動画の音声については、収録済みの場合には等級A、ライブの場合には等級AAに、それぞれ適用される達成基準があります。

つづきはメルマガで……。

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