こんにちは!2018年3月14日(水)にメール・マガジン第133号を発行しました!
- [連載]中根雅文の「全盲のコンピューター利用に関する四方山話」
- 第110回: 視覚障害者と読書 (10)
- [寄稿]AIとWebアクセシビリティ(前編)
- アルファサード株式会社 野田 純生
[連載]中根雅文の「全盲のコンピューター利用に関する四方山話」
第110回: 視覚障害者と読書 (10)前回はアメリカで読書に困難がある人たち向けに提供されているサービス、Bookshareについて紹介しました。そして、僕もこのサービスの利用登録をしてみて、その顛末を今回ご紹介できるかも、というようなことを書きましたが、結局年度末へ向けたドタバタの中で、全くこの手続きを進められませんでした。(でも確定申告は済ませましたので、だいぶ余裕はできました。)
ということで、今回からは数回にわたってAmazon Kindleについてのお話をお送りします。
Kindle登場
米Amazonが最初にKindleを発売したのは2007年11月のことでした。それまでにも電子書籍を扱う一般向けのサービスは複数存在しました。この連載でも取り上げたSafari Books Onlineは比較的規模が大きなものでしたが、他にも国内外で規模の小さなサービスや、出版社が独自に電子書籍を提供するサービスなどがありました。しかし、複数の出版社の書籍を1つのプラットフォームで読めるようにするもので普及していたといえそうなものは、僕が知る限り存在しませんでした。
Kindleは、今ではAmazonが販売する専用端末に加えてスマートフォンやPC上でも電子書籍を読むことができるサービスになっていますが、当初は専用端末上でのみ読書ができるサービスでした。そしてこの専用端末、発売当初は視覚障害者の利用は一切考えられていない、まったくアクセシブルではないものでした。
サービス開始後、提供される電子書籍のタイトルが増えるにつれて、2008年にはアメリカの視覚障害者を中心に、Kindleをアクセシブルにすることを求める声が上がり始めました。この声を受けてのことなのかどうかは分かりませんが、Amazonは2009年になって、英語のコンテンツのみが対象でしたが、合成音声による書籍の読み上げ機能を搭載した専用端末を発売しました。(これが登場した時、僕は視覚障害者の要求がこの動きを後押ししたのだとなんとなく思っていましたが、Amazonのスマート・スピーカー、Amazon Echoが書籍の読み上げに対応した、というような最近のニュースに触れると、実はAmazonはこういう方向性を元々視野に入れていたのではないかと思ったりもします。)
ただこの読み上げ機能付きのKindle端末が登場しても、実は視覚障害者にとってのKindleのアクセシビリティーが改善したとは、2つの点でとても言えない状況でした。
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