メルマガ第12号を発行しました!

こんにちは! 
「AccSellメールマガジン」第12号が発行されました!

第12号の内容は

[連載] 中根雅文の「全盲のコンピューター利用に関する四方山話」
第12回:点字ディスプレイ
[連載] 植木 真の「JIS X 8341-3:2010 『逆引き』徹底解説」
第11回:JIS X 8341-3:2010 実践 <その3> リスト、その他のセマンティックな要素
[連載]辻 勝利の「Life with 支援技術」
第8回:[緊急企画] 私がであった最初のアクセシブルゲーム

の3本です!

今回の中根さんのお話からチラ見せです。
点字ディスプレイってどんなのかしら?ってちょっと調べてみたらいろいろなメーカーからいろいろな機種が出ているんですね!

[連載]中根雅文の「全盲のコンピュータ利用に関する四方山話」
第12回: 点字ディスプレイ

前回は、コンピューター上で点字を扱う仕組みができたことで、点訳の方法が大きく変わったことをお話ししました。しかし、この仕組みは、僕たち点字使用者にも少なくない影響を与えました。今回は、点字使用者がコンピューター上で点字を扱うということ、そして関連して点字ディスプレイについて紹介します。

視覚障碍者と点字エディター

前回少し振れましたが「点字エディター」と呼ばれる、コンピューター上で点字データを扱うソフトウェアを使う場合、編集する点字データは、多くの場合墨点字と呼ばれる方式で画面上に表示されます。これは、点字のドット・パターンを視覚的に表したもので、言うまでもなく画面を見ることができなければ読むことはできません。

点訳ボランティアのように、晴眼者が点字を書く場合はこれでまったく問題はないのですが、画面を見ることができない僕たち視覚障碍者は、これでは自分が書いたものを確認したり編集したりすることができません。

この問題を解決する方法としては、まず音声出力を活用する方法が挙げられます。つまり、現在カーソルがある文字 (点字のドット・パターン) が何かというのを、音声出力でユーザーに知らせる方法です。仮名文字に対応するものがあるようなドット・パターンの場合は、その仮名文字を発声し、それ以外については、そのドット・パターンの点の番号を発声する、というような実装が実際に見られました。

このような音声出力機能がある点字エディターを使えば、画面を見ることができなくてもとりあえず1マスずつ確認することは可能です。しかし、1マスずつ確認していたのでは、それなりの長さがある文書全体を確認するのは大変です。また、例えば英文とか数式とかを書いているような場合、仮名として読み上げられた点が英字や数学記号の点字ではどの文字に当たるのかということを考えながら確認しないといけませんので、やはりこの方法で校正作業をするのは現実的ではありません。

ちなみに、点字には英語を表す表記法だけでなく、他の多くの原語を表す表記法が原語ごとに存在します。また、数学記号、理科記号、楽譜などを書くための表記法も定められています。

音声による確認には、もう一つ、作成している文書のレイアウトを確認することが非常に困難だという問題もあります。レイアウトを確認しようと思うと、1マスずつ聴いて確認した内容を頭の中で組み合わせて考えないといけませんので、例えば表を作るような作業は、神業といってもいいようなものになってしまいます。表のような難しいものでなくても、ページ全体のレイアウトを確認したりすることも事実上不可能です。

点字ディスプレイ

この問題の解決につながるのが、点字ディスプレイです。点字ディスプレイは、決して点字使用者が点字エディターを使えるようにすることを目的に考えられたものではありませんが、ここで少し詳しく紹介しておきます。

点字ディスプレイとは、その名の通り、点字を表示することができるハードウェアです。僕がMS-DOSを使い始めた1990年前後に出回っていた点字ディスプレイの場合、パソコンのシリアル・ポート (RS-232C) またはパラレル・ポート (プリンター・ポート) に接続して使うようになっていました。点字ディスプレイとパソコンの接続方法は、2000年代に入った頃まではシリアルまたはパラレル接続が主流でしたが、やがてUSB接続の機器が現れ、現在ではBluetooth接続ができるものが主流になってきています。 (USBやBluetoothの場合も、内部的にはシリアル接続と同じ扱いをしている場合がほとんどのようですが。)

点字ディスプレイには、「セル」と呼ばれる1マス分の点字を表示できるパーツが1列に並べて搭載されています。搭載されているセルの数は製品によって異なりますが、20セル程度のものから80セル程度のものまで存在します。

各セルには、表示できる点の数 (後述の通り、最近は8点ですが、以前は6点のものもありました) のピンが埋め込まれています。これらのピン1本ずつを電気的に制御して上下させて、点字を表すようになっています。このような構造から、点字ディスプレイのことを「点字ピンディスプレイ」とか「ピンディスプレイ」とか略して「ピンディス」 などと呼ぶこともありますが、最近は単に「点字ディスプレイ」ということが多いように思います。

ちなみに、点字ディスプレイのことを英語では “Braille display”と呼ぶ場合も多いのですが、“Refreshable Braille”と呼ぶこともしばしばです。また、僕が初めて点字ディスプレイに接した1980年代の後半には、“Paperless Braille”という呼び方もありましたが、これは最近はほとんど聞かない表現です。

さて、そのセルですが、搭載されているセルが多ければその分1度に表示できる文字数が増え、様々な作業をしやすくなりますが、搭載されているセル数に比例して装置の価格も高くなってしまいます。1990年頃の場合、40セルのモデルなら50万円前後、80セルの場合は百数十万円という価格が付けられていました。この頃に比べれば最近はもう少し安くなっていますが、それでもやはり点字ディスプレイを買おうと思うと、高価な買い物になってしまいます。

多くの点字ディスプレイでは、各セルは横2列、

つづきはメルマガで……。

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