Windows用スクリーン・リーダーのJAWSを開発する米国Freedom Scientific社は、JAWSの次期バージョン14で搭載する新機能、Flexible Webについて、先頃配信されたポッドキャストの中で紹介した。Flexible Webは、Webページを開いた際により簡単にメインのコンテンツに到達し、また不要な情報を読み飛ばすことを可能にするためのカスタマイズ機能だ。
ポッドキャストの中で紹介されていたデモによると、ユーザーによって以下のようなカスタマイズを行うことができるようになるという。
- ページ中の特定の要素を無視する。
- ページを開いた直後、特定の要素から読み上げを開始する。
こういったルールを特定のページに対して、特定のサイト中の全てのページに対して、あるいは全てのサイトの全てのページに対していくつでも設定することができるようになっている。
ルール設定には専用のウィザード式のインターフェースが用意されており、ウィザードを開いた時に仮想PCカーソル*がある位置に応じた選択肢が提示されるようになっている。例えば、仮想PCカーソルがframe要素の上にあれば、特定のIDのframeだけを無視するか、全てのframeを無視するかなどの選択肢が提示されるといった具合だ。
また、例えばh1要素の上に仮想PCカーソルがある時にウィザードを実行し、読み上げ位置の指定を選んだ場合には、最初のh1要素、h1要素でないようのテキストが特定のもの、h1要素でclass属性が特定のもの、などを含むいくつかの選択肢が提供されるようになっているという。
この設定を行い、有効になっているページにアクセスした場合、アクセス直後に指定の位置からの読み上げが自動的に始まり、無視するように設定された要素についてはその存在そのものがユーザーには伝わらなくなるようだ。 (ただし、一時的に設定をオフにすることなどは可能のようである。) デモを含めた説明を聴く限りでは、ページ上部のナビゲーションのようなリンク、広告、各種ソーシャル・メディアへの共有のためのボタンなどを容易に読み飛ばし、そのページが提供している情報をより効率的に得られるようにする機能という位置づけであるようだ。
今後他のスクリーン・リーダーが同様の機能を実装するかどうかという点が注目されると同時に、このような機能がなくとも効率的な情報アクセスを実現できるようなWebページの製作手法についての検討が進められることにも期待したい。
なお、デモにおいてはInternet Explorerが用いられていたが、他のブラウザーでも同様に利用できる機能かどうかという点については言及がなかった。
注:
- 仮想PCカーソル
- JAWSで用いられる用語で、Webページなどを読む際に、読み上げに用いるためのカーソル (ポインター) を指す。仮想PCカーソルは、キャレットやマウスカーソルとは独立した存在で、これらの位置には関係なく、ユーザーがその時読んでいる箇所を指している。
関連リンク
- 当該のポッドキャスト: FSCast Episode 70, September 2012