こんにちは!2016年6月22日(水)にAccSellメール・マガジン第92号を発行しました!
- [連載]中根雅文の「全盲のコンピューター利用に関する四方山話」
- 第89回: タッチ・パネルと視覚障害者
- [連載]植木 真の「こんなブログ記事見つけました!」
- 第48回:Android アプリのアクセシビリティガイドライン概観メモ
[連載]中根雅文の「全盲のコンピュータ利用に関する四方山話」
第89回: タッチ・パネルと視覚障害者前回紹介したように、2005年前後に登場したらくらくホンシリーズの端末で、携帯電話の主な機能を全盲の視覚障害者でも使えるようになりました。今回は、これ以降の携帯電話に関連する動きについてまず簡単に紹介します。そして、その後訪れるスマートフォン時代には当たり前になるタッチ・パネル (タッチ・スクリーン) についてお話しします。
ガラケー全盛期
僕が購入したらくらくホンシリーズの端末の発売に前後するようなタイミングでのことだったと思いますが、auからも一部の機能を音声化できる京セラ製の端末が登場しました。詳しくは分かりませんが、このシリーズの端末はその後数機種発売されたはずです。
実は僕は、このシリーズの端末のうちの1台を試しに買ってみました。が、少なくともその機種に関しては、音声化が不充分で実用的ではないという判断に至りました。
一般的にはこの後数年間、いわゆるガラケーの時代が続きます。視覚障害者的には、らくらくホンシリーズかauのこのシリーズの端末の2択、事実上はらくらくホンシリーズのほぼ1択といった感じになっていました。視覚障害者にとっての選択肢は少なかったものの、この頃は晴眼者が携帯電話で使っていた機能の多くを、視覚障害者もらくらくホンシリーズの端末を使えば使用できたわけで、いわば平和な時代でした。
ちなみに、全盲の視覚障害者の利用が困難、または不可能だった機能としては、iアプリと呼ばれるJavaを使って実装された、iモード携帯電話向けのアプリケーション、Flashを使ったコンテンツなどが挙げられます。 (もちろんアクセシビリティーが確保されていないWebコンテンツの利用が難しいのは言うまでもありません。)
iアプリについては、後年iアプリに対応したらくらくホンシリーズの端末も発売されました。でもこれですべてのiアプリが使えるようになったのかというと、そんなことはありませんでした。iアプリを開発する際に、らくらくホンで音声化することを考慮した実装になっている必要があったのだと思います。結局僕が知る限り、この機種で使えるiアプリは、元々この機種での利用を前提に作られたものだけだったようです。
どうでもいい話ですが、たしか今から2年くらい前に、誰かがiOS向けのアプリケーションのことを「iアプリ」と言っていました。今から思うと、携帯電話上でアプリケーションを動かせるようにするという考え方をいち早く実現したのが(NTTドコモの)iアプリだったというのに、もうすっかり忘れ去られてしまってるのだなあと、なんだかiアプリがかわいそうなような気がしました。
スマートフォン時代の到来
その後2009年に第2世代のiPhone (ややこしいことに製品名としては「iPhone 3G」) が日本でも発売されると、晴眼者の世界はスマートフォンへとシフトしていきました。ご存じのとおり、iPhoneを初めとするほとんどのスマートフォンは、UIをタッチ・パネル (タッチ・スクリーン) で実現しています。
タッチ・パネルというのは、全盲の視覚障害者にとっては絶対に使えないものの代表的なものでした。実際、2007年にアメリカで発売された初代iPhoneも、全盲の視覚障害者には使いようのないものでした。
ここで、それまでのタッチ・パネルと視覚障害者について見ておきましょう。
タッチ・パネルといえばATM
僕が初めてタッチ・パネルというものに遭遇したのは、1980年代後半、僕がまだ中学生の頃のことでした。
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