こんにちは!2018年11月28日(水)にメール・マガジン第150号を発行しました!
- [最後の連載]植木 真のWebアクセシビリティ棚卸し(後編)
- 「知る人ぞ知るチェックツール」の巻
- [連載]「不便さ」を力に――高齢者や障害のある人にも使いやすいモノづくり (8) (最終回)
- 玩具メーカー勤務 高橋 玲子
編集後記
というわけで、6年以上に渡っておとどけしてきた当メール・マガジンですが、この第150号で一旦休刊ということになりました。
第144号の編集後記でも書きましたが、誰に向けてどんな情報を発信していくのかを考え直そう、という中での決断です。が、同時に、6年間AccSellを運営してきて、アクセシビリティーの考え方の普及啓発ということに関して、僕の中での考え方が変わってきたということもあります。
6年前、そして2・3年前までの僕は、アクセシビリティーの重要性を訴え続けることがとにかく大事だと考えていました。もちろん今でもそれは大事なことなのですが、どうもそれだけでは足らないのではないかという思いが日に日に強くなってきています。
ちょっと前までの僕は、「アクセシブルな情報を増やす」ということが目標だと思っていました。しかし、今はたぶんそれは必ずしも正しくないのではないかという気がしています。すなわち、アクセシブルな情報を増やすということは目標ではなく、手段にすぎないのではないかと思うようになったのです。
アクセシビリティーに関する取り組みをしていらっしゃる皆さんは、それぞれいろいろな思いがあって取り組まれていると思いますので、その目標がなにかは人それぞれ違っているかも知れません。ご自分が関わっている製品をより多くの人に届けたいと考える方、ご自分が高齢者や障害者になっても苦労しないような社会にしたい、より便利な世の中にしたい、などなど、その思いは様々なのではないでしょうか。
僕の場合は、僕のような視覚障害者が情報障害者にならない社会、真にたようせいのある社会、そんなものを実現することが目標で、そのための手段として情報アクセシビリティーに取り組んでいる、最近はそんな風に考えています。そういう大きな目標を共有できる人を増やさなければ、アクセシビリティーの重要性を理解してとり組もうという人を今以上に劇的に増やすことはできないのではないだろうか、そんな思いが強くなったのです。
そのためには、障害の有無やその他の社会的属性に関係なく他者を見られるような人を増やさなければならないように感じています。ですから、ポッドキャストでいろいろなゲストの方に登場していただいたり、このメール・マガジンで僕以外の視覚障害者に寄稿していただいたりというようなことにも取り組んできました。
ところが、AccSellのポッドキャストを聴いてくださったりサイトを見に来てくださったり、そして特にこのメール・マガジンを購読してくださったりしている方は、実はすでにそういうことには、僕たちに言われるまでもなくとっくの昔に気づいている方がほとんどなのではないかということに、今さらながら思い至りました。そういった思いもあって、有料のメール・マガジンという読者を限定するような媒体よりも、広く一般に公開された媒体に注力する方が賢明なのではないかと考えるようになりました。
メール・マガジンの休刊という決断は、単にメール・マガジンを止めるということではなく、より多くの人と大きな目標を共有し、その実現のための手段としてのアクセシビリティーの重要性をより効果的な形で訴え続けるためにAccSellが変化するための第一歩だと考えています。
これまで、このメール・マガジンの購読という形でAccSellをご支援いただいた皆さんに改めて感謝いたします。これからも皆さんと一緒に情報アクセシビリティーに関する取り組みを加速させていければと思います。
それではまたポッドキャストでお会いしましょう。
ありがとうございました。
[中根 雅文]