こんにちは!2018年5月9日(水)にメール・マガジン第137号を発行しました!
- [連載]中根雅文の「全盲のコンピューター利用に関する四方山話」
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[連載]中根雅文の「全盲のコンピューター利用に関する四方山話」
第112回: 視覚障害者と読書 (12)前回紹介したように、Amazon Kindleの視覚障害者向けのアクセシビリティーは、時間をかけながら徐々に、といった感じではありましたが随分と向上しました。今回は、Amazon Kindleのアクセシビリティーに関連する話題をもう少し、そしてその他の電子書籍プラットフォームのアクセシビリティーに関する話題を紹介します。
Kindleの教育現場への導入の動き再び
連載第110回 (第133号掲載)でも紹介したように、Amazonは比較的早い時期からKindleを教育現場に導入するための取り組みをしていたようです。連載第110回で紹介したアリゾナ州立大学のケースでは、導入しようとしていた端末のアクセシビリティーが確保されていなかったことが原因で、アメリカの視覚障害者団体の反発を受け、訴訟に発展しました。この時は、結局Kindleを採用しないことで落ち着いたわけですが、Amazonはその後もKindleの教育現場への売り込みを続けていたようです。
そういった動きの中で次に視覚障害者が注目した、というよりは反発したのは、2015年に持ち上がったニューヨーク市での公立学校の教科書としてKindleを採用しようという計画でした。この計画は、3千万ドルを投じてニューヨーク市内の公立学校1800校で使う教科書としてKindleを採用しようというものでした。イメージとしては、すべての東京都立の小中高校で使う教科書をKindleにする、というのと同じような感じだと思います。
最近は日本でも一般の学校に通う障害児が増えているようですが、アメリカではもう随分前から障害児が地域の学校で学ぶのが一般的なことになっていますので、人口が多く、そして障害児人口も多いであろうニューヨーク市でこのような計画が実現すれば、それなりの数の視覚障碍児が影響を受けることが予想されます。
この計画に対して、アメリカの視覚障害者団体NFBが、徹底的な反対運動を起こしました。Kindleでは数式をアクセシブルな形で扱えないというのが主な反対の理由だったようです。
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