こんにちは!2018年1月10日(水)にAccSellメール・マガジン第129号を発行しました!
- [連載]中根雅文の「全盲のコンピューター利用に関する四方山話」
- 第108回: 視覚障害者と読書 (8)
- [寄稿] 2018年のチャレンジ
- 弁護士ドットコム 太田 良典
[連載]中根雅文の「全盲のコンピューター利用に関する四方山話」
第108回: 視覚障害者と読書 (8)新年明けましておめでとうございます。今年もAccSellをよろしくお願いします。
さて、前回は最新の書籍を入手することの困難さについて触れました。1990年代、そもそも電子的な形式で手に入れられるような最新書籍は少なかったですし、個々のユーザーががんばらないと入手できないような場合がほとんどでした。また、運良く入手できてもデータが不完全な場合もしばしばでした。
今回は、最新書籍を電子的な形式で入手する方法のその後の移り変わりについて紹介します。
OCRの活用
この連載でもこれまでに何度か紹介したことがありますが、特に英語環境では1990年代のはじめ頃までに、Kurzweil Reading SystemやOpenBookなど、いくつかの視覚障害者向けのOCRシステムが実用化されていました。僕自身は使ったことがありませんでしたが、おそらく英語に遅れること数年、日本語でも利用できる同様のOCR製品がいくつか登場しました。
書籍を電子的な形で入手することが難しいのであれば、自分で電子的な形のものを作ればいいだろうと考え、そのためにこういったOCRシステムを活用しようとなるのは自然な成り行きだったといえます。
このような視覚障害者向けのOCR製品は、いずれもそれなりの価格のものばかりでしたが、やがて一般向けの安価なOCRソフトウェアもいくつか販売されるようになりました。ですから、OCRを用いて書籍を電子化することは、この頃にはそれなりに現実的なことになっていました。世間で「自炊」という言葉が使われるようになる15年近く前の話です。
1990年代の僕は、英語については大学にあったOpenBookを、日本語についてはe.TypistというOCRソフトウェアを使っていました。ちなみに、e.Typistについては、その後多言語対応も図られ、今でも活用しています。
大学が活動の中心だった1990年代後半の僕は、どうしても読まなければならないのにアクセシブルな形式で入手できない書籍に関しては、誰かに読んでもらうか、この方法で電子化して読んでいました。
ただOCRを用いるこの方法には、いくつかの大きな問題もありました。
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