メルマガ第113号を発行しました!

こんにちは!2017年5月10日(水)にAccSellメール・マガジン第113号を発行しました!

[連載]中根雅文の「全盲のコンピューター利用に関する四方山話」
第101回: 視覚障害者と読書 (1)
[特別企画]「アクセシビリティ方針」を公開したチャットワークの中の人に突撃インタビュー!
守谷絵美さん(ChatWork株式会社)

[連載]中根雅文の「全盲のコンピューター利用に関する四方山話」
第101回: 視覚障害者と読書 (1)

本連載、前回の最後にも書きましたが、今回からは少し視点を変えて、引き続き僕の無駄話をお届けすることにします。

これまでは、どちらかというと特定のOSや機器を紹介しつつ、それが視覚障害者、というよりは僕にどのように使えるのか、僕の生活にどのように影響したのかといったことを紹介してきましたが、今回からは日常生活の中の特定の行動を起点にして、ICTがどのように役だっているのか、あるいは役立っていないのかといったことを紹介していきます。 (といいつつ、今回はICTの話は全然出てこないのですが......。) この連載を最初から読んでくださっている方には、「それ、前にも聞いたよ」という話も含まれることになる場合も少なからずあるかと思いますが、どうぞお付き合いください。

まず今回から数回に渡って取り上げるテーマは「読書」です。

アナログな読書

まず、僕がPCなどを使うようになる前の読書、つまりアナログな読書について紹介しておきましょう。

僕が子供だった1970年代、視覚障害者が本を読もうと思うと、基本的には点字図書、または録音図書を入手する必要がありました。

点字図書というのは、その名が示す通り本の内容を点字にして (点訳して) 作られた本です。一方録音図書というのは、本の内容を朗読した (音訳した) ものを録音したもので、当時は主にカセット・テープが使われていました。 (その前にはオープン・テープが使われていたようですが、僕自身はその時代を経験していません。)

僕の場合、点字をスラスラと読めるようになった小学校入学くらいまではもっぱら録音図書に頼り、その後は点字図書と録音図書を併用していました。点字図書の場合すべてが仮名で書かれていますし、録音図書の場合はすべてを読み上げてもらえますから、正確に意味を理解できていたかどうかは別として、同年代の晴眼の子供たちが漢字が分からなくて読めないような本でもどんどん読めるという利点がありました。

前述の通り、僕が点字を日常的に使うようになったのは小学校入学前後のことでしたが、それまでは録音図書に加えて、おそらく触って本を読むということに慣れるためだったのでしょう、しばしば当時確か「触る絵本」と呼ばれていた本をよく読んでいました。これは、絵本の絵を布や糸、ボタンなど様々な素材を工夫して使って絵を表現し、余白に点字のラベルを貼り付けて作られていたものです。現在ではこの種の絵本もいろいろとあるようですが、当時は地域のボランティアの方が手作りしてくれていました。

今思い返してみると、これは「触って理解する」ということを身につけるのに大いに役だったのだと思います。その一方で、触って本当に絵を理解できていたのかというと、かなり疑わしい気がしています。

「絵を理解する」ということ

これはあくまでも僕個人の話で、必ずしも先天的な全盲の人すべてに当てはまらないことかも知れませんが、少なくとも僕の場合、ある物の形を理解するとき、基本的にその物の全体像を立体的に捉えて記憶しています。

つづきはメルマガで……。

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